債務者(借り入れをした人)にとってのメリットとは、任意売却話を進めたい債権者が、債務者に対して残った債務の減免や引越し費用などを認めてくれることがある点がメリットです。
なぜなら、競売に比べて、売却額つまり返済額が多くなったり、短期間で返済を受けられることが多いので、債権者にとって任意売却を進めることがメリットとなるからです。
また競売に比べて、住宅ローンなどを返せなくなったために自宅不動産を手放すことになった事情を、周囲に知られにくいこともメリットと言えます。
裁判所が自宅不動産の競売の開始を決定すると、その不動産の場所、使用状況などが裁判所で閲覧できるようになります。
それを見て不動産の買受けの興味を持った人などが次々と自宅周囲を見学に来たりして、ご近所に事情を察せられてしまうことがあります。
任意売却では、競売開始決定の前に任意売却話が進めばこのような事態を避けることができます。
次に債権者にとって任意売却のメリットは「お金」と「時間」です。
任意売却の場合、競売より高い価格で不動産が売れることが多いため、
結果として債権の回収額が多くなることがメリットです。
競売では、裁判所が最低売却価格を設定しますが、一般的に時価よりも相当低い金額です。
任意売却では、売主(不動産の所有者)と買主が売買に合意し、(その不動産の買主に購入資金を融資をする金融機関の合意も必要となるケースもあります。)
債権者がその売却代金から回収できる金額に合意をすれば、
売買が成立して、不動産の引渡し、債権回収(借主から見れば借りていたお金の返済)を終わらせることができます。
それに対して競売では、債権回収まで早くても4ヶ月、通常半年以上かかります。